12月3日 聖学院 授業体験 レポート

◇ 12月3日(土)に聖学院の体験授業を取材してきました。数多くの講座が開かれていたので、60分という限られた時間の中ではすべて見ることはできませんでしたが、今回見たいくつかの授業では、二つの大きな特長を感じることができました。一つは、実践的で役に立つ点、もう一つはユニークで楽しめる点です。いずれも受験生を惹きつけるという意味で非常に効果的な授業でした。
 
◇実践的で役に立つ授業としては、『今すぐ使える、どこでもずっと使える、説明文の読解法』や『割合と数え上げの問題に強くなろう』などがありましたが、一番人気があり賑わっていたのは、その名もズバリ『入試で役立つ理科講座』でした。
 
◇この授業で扱っていたテーマは、①ガスバーナーの使い方 ②メスシリンダーの使い方(Komagomeピペットの使い方) ③豆電球、乾電池のつなぎ方と明るさ の3つです。3つのテーマのいずれにおいても、まずはプリントで道具の使い方を理解してから、次に実際の道具を用いて、問題を解いてみるという段階に移るという手順が共通しています。
 
◇例えば、メスシリンダーの場合はこうです。まずプリントに書かれたメスシリンダーの絵を見て、何ml入っているのか、その読み方を学びます。次に実際のメスシリンダーに各自指定された容量の水を入れていき、その目盛りを正確に読み取る、といった具合です。聖学院の在校生がそれぞれのテーブルで受験生をフォローしている姿も印象的です。先生の授業進行も在校生のサポートも、目線は受験生に合わせているのです。参加した子供たちは、実験を楽しみつつ、入試で使える実戦的な知識を体験的に習得していました。
 
◇また、ユニークで楽しめる内容が際立っている授業もありました。『ペットボトルロケットの製作と打ち上げ実験』では、まずペットボトルロケットがどういった仕組みで飛ぶのか、どうやれば自分たちで作ることが出来るのか、を教室で学びます。その後、実際に自分たちが作ったペットボトルロケットに空気を入れ、飛ばしていました。ペットボトルロケットを初めて飛ばした生徒も多かったようで、実際に自分の作ったロケットが飛ぶ様子を見て、みな目を輝かせていました。
 
◇『漫画サザエさんから考える社会科』は、漫画『サザエさん』を教材として使用するというユニークな社会科の授業でした。まずサザエさんの登場人物について紹介し、人間関係の相関図などで、登場人物の関係性を確かめます。そしてそこからは、「サザエさんを通して日本社会の変化を考えよう」というテーマで授業が展開されていきます。そこでは、実際の漫画の中に出てくる一コマを取り上げ、そのコマで描かれている様子と、現在の日本社会との違いを考えるという授業が行われていました。サザエさん一家は3世帯で生活しているが、今の日本の一般的な家庭はどうか。こういった先生の問いかけに対して生徒が考え、応答することで授業が進みます。現在は、3世帯同居が少ないこと、近所づきあいも減ってきたこと、また、携帯電話の普及によって相手の家ではなく直接相手に電話をかけるようになったことなど、社会が大きく変化してきたことに生徒が気づいていきます。
 
◇聖学院の体験授業は、受験生へのメッセージにあふれていたと思います。そのメッセージとは、「勉強は役立つし、面白くてワクワクするものだ」という内容です。先生方のそのような思いが強く感じられたイベントでした。
Reported by   宮崎晋平 (慶應義塾大学商学部)
 
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