9月17日 かえつ有明「文化フェスタ」
◆9月17日と18日の二日間、かえつ有明で文化祭(文化フェスタ)が行われました。私は初日の方に行って参りました。
ケンブリッジでの語学研修
◆模擬店やバンド演奏、体育系クラブのパフォーマンスなど、中学受験生が楽しめるイベントがいくつも催されている中、パンフレットに「ケンブリッジ研修」と小さく書かれているのを見つけ、教室を覗いてみることにしました。
◆写真やレポートが展示されている教室では、パワーポイントを使って高校2年生の女子生徒がプレゼンをしているところでした。今年の春に研修に参加したその生徒の話しぶりからは、実際に行って見てきた人ならではの臨場感や感動が伝わってきます。とりわけ、ケンブリッジのアカデミックな雰囲気や、苦労しながらホストファミリーと会話をした経験は、印象深い思い出となっているようで、説明にも力が入っていました。
◆かえつ有明では、毎年10月に修学旅行で高校2年生全員がロンドンとパリに行くのですが、このケンブリッジ研修は、修学旅行とは別に、3月に実施され、希望者だけが参加する研修です。2週間のうち、1週間は「嘉悦ケンブリッジ教育文化センター」に宿泊し、あと1週間はホームステイをするというプログラムです。
◆「嘉悦ケンブリッジ教育文化センター」は、嘉悦学園がケンブリッジ大学のカレッジ内に所有している施設で、かえつ有明の生徒はこの施設を優先的に利用できるとのことです。また、生徒を引率したNativeの先生は、ケンブリッジ大学大学院出身で、周辺地理や習慣などについても熟知しているので、今回の研修に参加した生徒は、本当にすばらしい機会が与えられたと言えるでしょう。
ケンブリッジでのサイエンスワークショップ
◆ケンブリッジ研修の向かい側の教室では、理科教育に関する展示をしていました。入ってみてびっくりしたのは、「日英高校生サイエンスワークショップ」というイベントのレポートがさりげなく展示されていたことです。このワークショップは、立教英国学院やケンブリッジ大学が主催し、嘉悦ケンブリッジ教育文化センターで実施されたもので、ケンブリッジ大学の最先端の研究に高校生が直接触れられるというプログラムです。
◆教室には案内文がさらりと展示されていただけだったので、読み飛ばして通り過ぎてしまいそうなほどでしたが、生徒を引率した福冨先生に直接お話を伺ってみると、やはり、その凄さが明らかになりました。
◆最先端研究領域は、化学・生物科学・地球科学・植物科学・天文学など9つの学問領域に渡ります。言葉の壁を乗り越えるために、それぞれのプロジェクトにはバイリンガルのファシリテーター(ガイド役)がついて、生徒と研究者の間を取り持つのだそうです。
◆かえつ有明から参加した高校2年生は、キャベンディッシュ研究所のプロジェクト、“Soft Physics”に参加しました。キャベンディッシュ研究所と言えば、DNA二重らせんの発見をしたクリックとワトソンら、数多くのノーベル賞受賞者を輩出した研究所です。物理担当の福冨先生からすれば、あまりに貴重な体験で、この体験の凄さを今回参加した生徒にどう伝えたら伝わるか、考え込んだというのも分かります。
◆他にも放射線が環境に与える影響(Radiation in the Environment)など、興味深いプロジェクトが資料に掲載されていました。今年は東日本大震災があったため、東北地方から何校かが招待されたそうで、福島県からの高校生もこのプロジェクトに参加したようです。科学が現実から遊離することなく、手を携えて進めていこうとする主催者の意志が伝わってきます。ついでに触れると、このイベントでは、イギリス人と日本人の高校生がペアになって一つの部屋で宿泊するということで、科学を通した文化交流にもなっているところも非常に興味深い点です。
◆それにしても、こんなふうに文化祭を回っていると、ふだんはあまり宣伝されず、知られていない学校の「懐の深さ」に出くわすことがあるのですね。びっくりしました。