ここ5年間という短期間に、私たちは、止むことなきテロ、世界経済の危機の連動、各国の政権交代、中東の民主化革命の連鎖と拡大、東北関東大震災の背景にあるグローバル・リスクの露見など、地球規模の危機とリスクを日常生活の中で体験しながら生きています。

　しかし、すべての人々が生き抜いているのではなく、多くの人々が、富の格差に悩み困窮し、危機に直面して近しい人々の尊い命を失うという凄惨な状況下にあります。

　そして、極めて重要なことは、従来の経済問題、雇用問題、教育問題、危機管理問題を解決する方法や手段が無力であるという事実です。

　そこで、この無力感を有力感に転ずる活動が求められているのです。つまり、そのような活動を創り上げ、運営する人材が求められているのです。グローバリゼーションは、ひと・もの・かね・情報の国境横断型の政治経済活動ですが、相変わらず基礎的なアイデアはGDP競争であり、エネルギー奪取競争です。知識基盤社会に移行すると言われてきましたが、結局は利己的人間の量的競争社会の拡張でした。

　しかし、これからは、経済・政治・教育などあらゆる領域において、他者と共に生きながら自律できる共存自律型人間の出現が期待されているのです。このような人材を輩出できる教育活動を実践している学校を、グッドスクール（GS）と呼び、GSが互いに情報を共有して、共存自律型人材の輩出力と絆力を高めていく協働態が、グッドスクール・コミュニティなのです。

　グッドスクール・コミュニティが育てる共存自律型人材の特色＝KIC

　①　Knowledging-ecology（自然・社会・精神をつなぐ思考活動）
　②　Inter-autonomy（互に自律する）
　③　Co-commitment（共に関わる）