帰国枠大学入試のシーズン到来(1)
◇2014年4月入学を目指す受験生のための帰国枠大学入試シーズンがやってきました。首都圏では9月2日に実施される早稲田大学を皮切りに、慶應義塾大学、国際基督教大学(ICU)、上智大学など、帰国生に人気の私大が次々と入試を行います。今回の記事では、まだ大学受験までは間がある、小中高生をお持ちの保護者を想定して、帰国枠大学受験の現状をお伝えします。
◇私大の場合、早稲田大学のように、海外の高校を卒業していることを受験資格としている入試もあれば、ICUや上智大学のように、海外に滞在した年数によって、国内の高校に編入している生徒にも受験資格を与えている入試もあります。
◇一方、国立大学の場合は、大半の大学が海外の高校卒業を受験資格としており、さらに単身留学生を帰国生として認めていないところも多くあるなど、必ずしも受け入れに積極的ではありません。
◇それもそのはずで、大半の帰国生は、9月からの私大の入試で合格を取ってしまえば、2月などの遅い時期に実施される国立大学の入試は受験しません。ましてや1年前の出願で秋入学を早々と決めてしまう帰国生もかなりいますから、国立大学の帰国生入試の出願者は、少なくならざるを得ません。東大や一橋大など有名大学を除いては、ほとんどが一桁の応募者というのが実情で、出願者ゼロなどというケースも珍しくはありません。
◇理系学部を選択する場合は、状況はさらに厳しくなります。帰国生の募集自体を行っていないという大学も多いですし、筆記試験で、日本型受験数学が課される場合も多くあり、受験生が敬遠してしまうわけです。
◇したがって、有名大学を除く大半の大学において帰国生入試は形骸化しています。全体としてはAO入試に統合される方向に進んでおり、帰国生に人気の早稲田大学の政治経済学部ですら、来年度から帰国生入試を実施せず、AO入試に統合すると発表しています。
◇10年前であれば、高校生の途中で帰国になる場合、帰国枠大学受験の資格要件を考慮して、本人ひとり(または母親と本人だけ)を現地に残して、父親だけが帰国するというケースがかなりありましたが(単身残留と呼んでいます)、最近ではAO入試の広がりなども影響して、家族が一緒に帰国するというケースが多くなっているようです。
◇帰国生が国内の中学や高校に編入する場合の留意点などについては、また次回に書いていくつもりです。