【国際交流から見るグッドスクール】慶應湘南藤沢中高

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慶應義塾湘南藤沢中高のホームページにシンガポール交換留学プログラムが紹介されていた。ホワチョン(華僑)中学校の男子生徒とナンヤン(南洋)女子中学校の生徒が合計9名来日したということだ。

ホワチョン中学校(Hwa Chong Institution)は、シンガポールでトップクラスの進学実績を誇る学校である。卒業生の一部の進学先がホームページに掲載されているが、スタンフォード、インペリアルカレッジ、ブラウン、コーネル、オックスフォード、ハーバード…といった大学名がずらりと並んでいる。参照ページはこちら

実績だけを書くと日本における偏差値重視の20世紀的な競争をイメージするかもしれない。実際シンガポールの進学熱は非常に高く、小学校低学年から苛烈な進学競争をする。しかし、教育の中身が知識偏重かと言うと、それは違う。

例えばホワチョンでは、Project Competitionというイベントを毎年行っており、そのイベントの公開ページを見ても、実に多様な学びを支援していることが分かる。校長先生は次のように述べている。

Projects Competition has raised the confidence of our students to communicate their project clearly and effectively and to present and handle questions in front of a mass audience. It has also promoted in-depth research skills and knowledge, and enhanced students' skills in using Information Technology for research work and as a presentation tool. The collaborative work has helped to improve team dynamics and to equip our pupils with the right attitudes and social skills for future work life. Because of the inter-disciplinary nature of many projects, there is application and transfer of knowledge and skills across disciplines and the recognition of the relevance and inter-relatedness of what is learnt.

http://hsprojectsday2013.wiki.hci.edu.sg/7.+From+our+Principal+... より

ここに書かれていることは、21世紀型スキルそのものである。こういった取り組みをすでに10年以上続けているのは、シンガポールが国を挙げて教育の充実に努めてきたからにほかならない。ホワチョン中学校だけの話ではないのだ。

2012年度のプロジェクトが Web-Reportという形で公開されているので、参照してみるのも面白い。11個のカテゴリーの中で、教員がメンターとなってプロジェクトチームを支援している点や、Project Ethicsを提示して、遵守事項を確認している点など、日本の学校でも参考になりそうなことがたくさんある。

国際交流においては、異文化理解という面を無視するわけにはいかないだろうが、文化の違いという、ある意味で結論になってしまうような要素を前提にするよりも、むしろ学び方の違いがどのような制度によって引き起こされているのかを考えるきっかけにする方が多くのことを学べるのではないだろうか。

もちろん慶應湘南藤沢の場合、ほとんどの生徒は内部進学をし、大学受験の制約を受けない学び方が可能な学校であるわけだから、ますますそのような交流に期待が持てるというものだ。