【私立中学を受験するということ 2】ー私立学校のハビトゥス

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私立中学受験をする親のニーズは大学進学実績にばかりあるわけではない。むしろ校風や教育理念に惹かれて学校選択をする層が多いのだ。

 

 佼成学園女子にて。受験生を激励する江川教頭先生(2月2日午前)

かつて都立高校が学校群制度で大学進学実績において凋落し、私国立中高一貫校による東大合格者数ランキング上位寡占状態がよく話題にのぼった頃、私立中学の魅力は、大学受験における優位性について語られることが多かった。

しかし、それはマスコミ的な盛り上がり方なのであって、実際に受験する側の多くは、当時から、子どもに合った学校はどこかという観点で学校選びをしてきたのである。シングルスクール(男子校・女子校)か共学かといったことや、附属校か進学校か、などといったことを学校選択の観点に加えながら、学校の校風を見極めようとしてきたのだ

聖学院の象徴「石川ベルタワー」(本間教育研究所 提供)

もちろん学費や通学にかかる時間、そして偏差値なども学校選択の観点の一つとはなるが、上記の、学校文化のハビトゥスに関することとは質的に大きく異なる。私立学校を選択する本質にはなり得ないのである。

建学の精神などは目で確認できないから、俄仕立てで中学受験を記事にするメディアは、大学進学実績など一見分かりやすい安易な表現に飛びつくが、目に見えない文化資本を重視する賢い親は、そこをこそ見極めようとするわけだ。

それは公立の学校がどんなに中高一貫校を制度的に真似てみたところで、どうしても真似のできない、私立学校だけの特質なのである。