【私立中学を受験するということ 4】―建学の精神と中高一貫教育

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私立学校が公立の学校と違うのは、創立者がいるということ、すなわち「建学の精神」があるという点に最もよく表れてくる。

かえつ有明の卒業式(2015年3月1日)

自分を形成している文化や価値観というのは、自分にとって自明であるがゆえにふだんは意識されない。何となく自分固有のパーソナリティだと考えている。しかし、趣味や価値観は、先天的なもの以外に、家庭文化や所属しているコミュニテイ、生まれ育った時代や、学校で出会った人々に影響を受けて出来上がっている。特に、中学高校時代に出会う友人や先生などは、生涯に渡って大きな影響を与えることは後から振り返ってみて実感されることであろう。

中学受験が親の受験だとよく言われるのは、親が子どもに勉強を教えるといった表面的なことばかりを言っているのではなく、中高6年間という、心身ともに大きく成長するこの時期の環境をどのように選択するかという問題に対する親の価値観が問われているということである。

親の側では、様々な学校の校風や文化を見極め、わが子が仲間とともに成長できる環境を見つけようと真剣になるし、同時に、そのような親の意識に応えようとすることで、私立中高の教育の質もまた高まってきたのである。

 先日出席したかえつ有明の卒業式では、卒業生が、中1の時にかけられた先生の言葉を今でも大切に胸に刻んでいると語った。中高一貫校ならではのそのような魅力を、石川副校長先生かえつ有明ホームページ上のインタビュー記事で語っている。様々なバックグラウンドを持つ生徒が、6年間という時間の中で、学校の文化を吸収しながら、新しいコミュニティを創造していく場が中高一貫校なのであると。

建学の精神に支えられた学校の文化や価値観というのは、人生の長きに渡って影響を与える基盤である。これは大学合格実績のようなランキングでは決して測れない価値であろう。

3月21日に工学院大学で行われる21会セミナーでは、未来を見据えた学校選びの指針が私立学校の先生方によって示される。従来型の大学受験をゴールにしたような学校教育はもう過去のものになりつつあることが明らかになるであろう。