カルチャーマップの必要性

Taxonomy upgrade extras: 

エリン・メイヤーというINSEADの教授が書いた「異文化理解力」(原題は The Culture Map)は面白い。副題に「ビジネスパーソン必須の教養」とあるが、これは、仕事で外国人と接する人に限らず、帰国生教育関係者やインター校などで教えている人はぜひとも手元に置いておくべき書である。

著者は、次のような8つの観点から文化の違いを考えている。

  1. コミュニケーション…ローコンテクストvsハイコンテクスト  
  2. 評価…直接的なネガティブ・フィードバックvs間接的なネガティブ・フィードバック 
  3. 説得…原理優先vs応用優先  
  4. リード…平等主義vs階層主義  
  5. 決断…合意志向vsトップダウン式  
  6. 信頼…タスクベースvs関係ベース  
  7. 見解の相違…対立型vs対立回避型  
  8. スケジューリング…直線的な時間vs柔軟な時間

日本がハイコンテクストで英語圏はローコンテクストであることなどは、これまでもよく耳にすることであったが、原理優先のヨーロッパに対して、応用優先のアメリカなどという分類なども、改めてそうだよなと頷ける点が多々ある。要するに「Why」を重視する欧州と、「How」を重視する米国ということ。

もちろんステレオタイプな見方に陥らないように留意することは必要だとしても、自分とは違う文化を見る際の助けにはある。さらに言えば、ネガティブ・フィードバックを受けた際に、必要以上に傷つくことを回避することもできる。日本人同士はネガティブ・フィードバックを直接言うことをあまりしないので、そういう事態があった場合に「打たれ弱い」のだなという気づきも得られる。

他文化の位置と自文化の位置を相対化するという意味では、「異文化理解力」というタイトルよりも、原題の「カルチャーマップ」の方がしっくりくるのだが、カタカナだと軽い内容に見えてしまうという、おそらく編集部の諸々の判断があって書名が決定されたのだろう。 

帰国生が海外で体験したことを整理するときなどにかなり役立ちそうな本である。