「問いの構造」ー「オープンエンドの問い」と「答えがある問い」

 先日かえつ有明の石川校長先生にお話を伺う機会があり、問いの構造ということに話が及んだ。

 石川先生は、教科横断型の科目である「サイエンス」を、かえつ有明のコアサブジェクトとして浸透させ、クリティカルシンキングを学びに取り入れてきた。そして今から5年ほど前、まだアクティブラーニングやプロジェクト・ベースト・ラーニング(PBL)といった言葉が飛び交っていない頃に、「オープンエンドの問い」にこだわり、思考力テスト(かつては「作文入試」という名で呼んでいた)を大きく育ててきた。

 「オープンエンドの問い」というのは、正しい答えが一つとは限らない問いのことである。ただし、テストである以上、答えの妥当性を評価する必要がある。そこでかえつ有明では、「知のコード」と「ルーブリック」の開発を行ってきた。その研修は今も継続されており、学校の内部に、問いの構造化に熟達したスーパーグローバルティーチャー(SGT)と呼ばれる集団が形成されつつある。

 常に時代の先を走る石川先生のインタビュー記事が「石川校長のビジョン」というシリーズとしてかえつ有明のホームページに掲載されているが、今回は「答えのある問い」にスポットライトを当てているのが興味深い。

 「答えのない問い」についてこれまでずっと学内で対話を続けてきたからこそ語れる内容である。問いについて、そもそも答えがあるものとないものとでどちらが大切かという問題の立て方こそがナンセンスなのである。オープンエンドの問いだけが優れた問いであるわけではなく、学習した内容の確認をするものや、知識の転移を要求するようなもの、また、誘導的な問いや、完全にオープンエンドで、生涯にわたっても答えは出ないであろう問いなどが組み合わされているからこそ、アクティブな学びを引き起こすのであろう。

 かえつ有明のTOK型哲学授業や、思考力テスト対策講座、また、毎週土曜日に小学6年生に公開されているかえつ土曜講座(KSS)など、問いをベースにした授業が次々と誕生するのは、石川校長先生のように、問いの構造を意識した探求心がベースにあるからなのである。

 学びをデザインする力というのは、問いを構造化する力であると言ってもよいのではないだろうか。それこそがSGTと呼ばれる先生の必須スキルとなるはずである。