首都圏模試父母会@かえつ有明
10月12日に首都圏模試センターの「統一合判」が実施された。首都圏模試では受験者数の伸びが堅調で、特に5年生は対前年比110%もの伸びだったということである。私が講演させていただいたかえつ有明の父母会会場もぎっしり満員で、しかもほとんどのご父母が、入試動向に関する私の話が終わった後もそのまま残り、かえつ有明の石川校長が語る教育の話に熱心に耳を傾けていた。
この日の父母会テーマは「2016年入試合格のための課題&チャンスと最新学校&入試情報」。私からは、2020年の大学入試改革を見据え、どのような観点から中学校選びをしたらよいかということを中心に話をした。話の内容を組み立てるにあたっては、首都圏模試センターのホームページにある豊富な受験者データや入試データを活用しながら、本間教育研究所(「私立学校研究」)の情報分析を参考にさせていただいた。
首都圏模試の父母会では毎回異なるテーマが与えられ、それに基づいて講演をすることになっているのだが、そうはいっても毎回重なる部分もある。このところ必ず話題にしているのは、大学入試改革と、中高の学びもしくは中学入試の変化との関連についてである。今の小学生が18歳になる頃には、今の形での大学センター試験は消滅しているわけだから、ご父母の反応は真剣そのもの。中学入試目前ではあっても、やはり6年後の世の中をしっかり見据えておこうと考えていることが伝わってくる。現在の偏差値ばかりでなく、中高6年間でどのような学びができるのかという観点で学校選択をすることの重要性は改めて強調する必要もないほど十分に認識されているようであった。
それにしても話をしていて感じるのは、大学入試改革や海外大学進学、あるいはアクティブラーニングといった話がずいぶん受け入れられやすくなってきたなということである。どんな基準で中学を選ぶかということが、中高6年間の学びの質の方向性を定めることになり、それが6年後の大学進学、あるいはもっと先の社会をサバイバルする上で大きな影響を及ぼすという話が、ご父母の頷く様子からすんなりと理解されているという印象を受けた。
この日は特にかえつ有明で父母会講演をしたということも大きく関係したのかもしれない。というのは、かえつ有明など21世紀型教育を打ち出している学校では、この手の話を説明会で頻繁にしているため、聞き手の側の抵抗感が低くなっていると考えられるからである。おそらくこの日父母会を聞いていた方の中には、これまでにかえつ有明の説明会に参加した方が少なからずいらっしゃったに違いない。そうだとすれば、21世紀型教育についてはすでに何度か耳にしていて、違和感を持つどころか、同じような思いで学校を見ていこうというご父母が多かったのかもしれない。
石川先生はこの日も社会の変化に対応した学びについて、主にかえつ有明の取り組みに即してお話をされていた。途中で若手の先生に現場の雰囲気を話してもらうなど、トップマネージメントサイドだけではなく教職員全員の意識が21世紀型の学びに向かっていることが伝わってきた。しかも合格実績は合格実績として着実に伸ばしているわけであるから、今年の入試でも人気が集まっていることが頷けよう。
首都圏模試の父母会は定期的に行われるため、ご父母の関心がどの程度21世紀型教育に向いているかがよく分かる。首都圏模試センターの教務情報部部長の北一成さんによる中学入試市場のイメージ図で言うと、左側の逆三角形の市場はしぼみつつあるが、右側の三角形で表現されている市場がどんどん広がっているのである。
さらに、本間教育研究所の分析によれば、21世紀型教育と言っても、様々な段階があるということである。今回の父母会では時間の関係でそこを詳しくお話はできなかったが、21世紀型教育2.0のステージに突入し、さらに3.0に向かって着々と準備を進めている学校がある。もちろんかえつ有明もその一つである。
10月25日にそのような21世紀型教育を創る会の学校が集まって、カンファレンスと思考力テストセミナーを実施する。どんな教育が行われようとしているのか、ぜひ足を運んで確認してみてはいかがだろうか。