【帰国生との対話ー4】アピールの重要性

帰国枠大学受験を終えた帰国生が、ヨーロッパのとある非英語圏の国のインター校(IBスクール)に入学した時の話をしてくれました(個人が特定されてしまうほど日本人が少ない国なので今回は国名は伏せておきます)。

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その生徒は入学試験の出来があまりよくなかったために一度不合格となってしまったそうです。しかし、IBスクールがそのエリアでその学校ただ一つしかなかったということもあり、なんとか食い下がろうと、そのインター校に結果について再考してほしい旨を親と一緒に訴えました。その訴えの内容とは、数学のテストで電卓が使えるということを知らされていなかったために思うような点数が取れなかったということ。さらに、日本人が学校にいることが多様性という意味でも学校に寄与するはずだとも伝えたそうです。このあたりは本人というよりも、親の交渉力がきっと強力だったのかもしれません。それが功を奏したのか、先方もその訴えを聞き入れ、その結果、再受験が認められ、晴れて合格できたということでした。

この手の主張をすると、ともすると「潔くない」とか「図々しい」などという反応があったりしますが、海外でサバイバルするにはそれくらいのネゴシエーションをしないとやっていけません。正当な「アピール」だったと思います。ちなみに、アピールには「上告する」という意味があります。

合否という大事な判定であるからこそ、その生徒は必死にアピールし、意外にあっさりと判定が覆るという経験をしたわけです。こういう風に、アピールによって判定がひっくり返ることはインター校に通っている生徒からよく耳にします。

2年ほど前のことですが、スカイプ授業を受け持っていたとある日本人生徒から、IBディプロマが取れなくなってしまいそうですと相談がありました。話を聞くと、学校から、成績が芳しくないため、6科目をフルに履修するDiplomaではなく、部分履修であるCertificateに変更するように言われたというのです。

IBスクールでは、生徒のDiploma取得率によって、学校のレベル判定をされてしまうことから、事前にDiplomaにチャレンジする生徒を制限しようとします。大勢の生徒がDiplomaにチャレンジすると、Failの生徒も数多く出てしまうために、取得が厳しそうな生徒には事前にコース変更を迫るわけです。

生徒の側からすれば、チャレンジしてFailになるのも、途中でDiplomaを断念するのも結果的には大学受験で圧倒的に不利に立たされるという結果は同じなので、少々きつくてもDiplomaにチャレンジした方がよいわけです。

私がその生徒にしたアドバイスは、学校のIBコーディネーターにある提案をすることでした。Diplomaを断念するように言われる生徒というのは、往々にして、英語で交渉するほどの英語力が身についていない場合が多いので、原稿を書かせます。そして、具体的な提案内容を文面にした上で、丁重に誠意をもって相手に自分の思いを届けることが大切になります。

毎年、DiplomaからCertificateに変えてしまった後で、相談に来られる方が多いのですが、一度変更を受け入れてしまうと元のDiplomaコースに戻るのはほぼ不可能です。その前で相談をしてくれればいくつかの策はあります。その生徒も、Diplomaを継続することができたので、アドバイスというのも、多少は効果があったのかもしれません。機会があれば、公開していきたいと思います。

IBにおける評価については、以前に別のブログで覚書程度のものを書いたので、こちらも参考していただければ幸いです。