かえつ有明 オープンキャンパスに見る教師力

7月24日に行われたかえつ有明のオープンキャンパスを取材しました。どの授業も盛況で、興味深いものでしたが、特に英語上級クラスのクオリティの高さと教員の層の厚さには驚かされました。

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この日英語上級クラスの授業を担当したのは、Hill先生。オーストラリアの大学で哲学のPhD(博士号)を取得しているとのことです。もともと、Dutson先生が帰国生英語クラスを中心に、TOKスタイルから哲学授業へとかえつ有明の英語教育の幅を広げていった文化がありますから、Hill先生はその方向性を推進する強力なパートナーであると言えましょう。

実際、授業の進め方は、Dutson先生と同様、ソクラテス対話をベースにしています。この授業スタイルは、先生がファシリテーターとなり、子どもたちの哲学的思考を引き出していくところにポイントがあります。この日は、身近なコピーマシンの話から入り、自分がもう一人作れる機械という仮定から、生命倫理やアイデンティティといった問題にまで広がっていきました。

 もちろん生徒は、そんな難しい言葉を使うわけではないのですが、問題の本質がどこにあるかは理解し、英語で自分の考えを述べていきます。授業をオブザーブする保護者は、なぜかえつ有明がこれほど帰国生に圧倒的支持を受けているのかという理由が飲み込めたのではないでしょうか。

ドルフィンという図書室では、かえつ有明の卒業生で大学1年生のチューターたちが、山田先生や大木先生のサポートを受けながら小学生をファシリテートしていました。

こちらでも共通していたのは、子どもたちに考えを述べてもらうということです。かえつ有明の独自教科であるサイエンス科では、自分の意見を述べるためのフォーマットが基本コンセプトに採り入れられています。そのプログラムで学んだ卒業生が、この思考力講座で自分たちの学んだことを発揮していたのです。

また、英語入門クラスではDaniels先生と藤原先生が笑いいっぱいの授業を展開していました。

Daniels先生は、上級クラスを担当する時はラテラルシンキングなどの思考力を重視した授業展開をしますが、入門クラスでは、ジェスチャーをたっぷり交えて楽しい授業を行います。今年は担任も持っているとのことで、学校内で大活躍をしている先生の一人です。

これほどまでに先生が生き生きとしていて、しかも子どもたちが主役になるような授業が展開できるのは、学校内で日々研修が行われ、教員同士の密なコミュニケーションが図られているからです。今回のオープンキャンパスではすべてを取材することはできませんでしたが、まだまだスーパーグローバルティーチャー(SGT)と呼ばれる先生がたくさん控えています。

こういった先生方に共通する特徴は何でしょうか。教科知識、教科の専門家であること。もちろんそれは当然でしょう。子どもたち生徒のことを中心に考えられること。それも大切です。さらにもう一つの要素は、学びそのものへの飽くなき追求です。そういう意味でかえつ有明は「学習する組織」だと言えるのです。