かえつ有明中・高等学校  7月24日 体験入学

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◇かえつ有明中高の体験入学に行ってきました。国語、算数(数学)、社会、理科(物理、生物、化学)、英語、サイエンス科のうちいずれか2つの授業が受けられるというイベントです。

◇私が見学したサイエンス科の授業では、「シール」について考える授業が行われていました。

◇サイエンス科の山田先生と大木先生が見守る中、ふだん放課後学習をサポートしているという大学生チューターが進行役となり、「シール」から連想する言葉をマッピングシートに書き出す作業をしています。最初は、どう書いてよいかわからずとまどっている生徒もいましたが、「正解は1つではないから安心してね」という大学生チューターの声で、みな鉛筆を動かし始めます。

◇「はる」「はがす」「虫除けのために使う」「かわいい模様」…などなど。それらの言葉は、各自のワークシートの中にあるマッピングシートの5つの円の中に書き込まれ、さらに、ポストイットにも同じ言葉が1枚1枚に書き込まれました。

◇一体どんなことが起こるのか、わくわくしながら見ていると、ポストイットに書いてあることばをグループに分けてくださいとチューターから指示が出ました。7名ほどのグループ全員がそれぞれの受験生が書いた言葉を分類し始めます。大きいテーブルに全員が身を乗り出し、自分の意見を述べながら、言葉が書かれたポストイットを模造紙のあちらこちらに貼り直しています。この日初めて会った受験生同士がお互いの考えを尊重しながら、言葉の分類についての合意を形成していく過程に正直驚きました。しかも授業が始まってからわずか15分程度しか時間が経過していないのです。

◇こんな風に生徒の多様な考えを許容しながら課題を進めていけるのは、サイエンス科の方法論が確立していることの証と考えてよいでしょう。ワークシートのフォーマットが決まっているので、逆に自由なやり取りができるわけです。サイエンス科の先生方が進行役をチューターに任せ、自分たちは時に受験生を励まし、時に生徒と一緒に考えるというスタンスを保っていける理由がよくわかりました。授業を行う先生として役割を固定してしまうよりも、生徒と一緒に感じてあげようとすることこそが不安をかかえてやってくる受験生へのホスピタリティであるのです。

◇さて、分類が終わると次は図書室「ドルフィン」の中でシールを探すという課題が出されました。3分間の短い時間ですが、メモを片手に受験生は、図書室の中をあちこち探し回ります。多くの受験生は、色々あるシールの中で、本の背表紙に貼られている分類シールにとりわけ注目します。ワークシートに沿って、先ほど自分たちが使ったポストイットと今見つけてきたシールとの比較をし、違いと共通点を書いていきます。

◇タイミングよくチューターからアドバイスが出され、山田先生や大木先生も生徒と一緒になって、課題に取り組みます。最後の200字記述は、「考える」ということについて「情報」という言葉を使ってまとめさせるものでした。難問と思われるこの課題を生徒たちは10分ほどで片付けていました。この授業でやったことを振り返ることが、「情報」と「考える」ことを結びつけるためのポイントだということに気づけば、書く作業にはそれほど時間はかからないのです。

◇今回のサイエンス科体験授業では、「シール」を通して「考える」ということに迫りました。考えるためには、手順や道筋があり、その方法を学ぶことがサイエンスの授業なのだというメッセージを受け取って、受験生は帰っていきました。