とあるIB履修生徒のEEテーマ

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海外のインターナショナルスクールで国際バカロレア(IB)のディプロマプログラム(DP)を履修している一時帰国中の生徒と雑談をしているときに、Extended EssayEE)の話になりました。

◇EEは、IB Diplomaプログラムの特色の一つで、自分が履修している科目の中から一つを選び、より深く自由研究をするといったものです。その生徒はEconomicsEEを書くことに決め、この一時帰国中に郷里の近くの富士山でアンケート調査をすると話していました。

アンケートの内容は、富士山に捨てられるゴミ問題を解決するために、どのような方法が有効かということだそうです。国または地方自治体が予算を使って、ゴミを捨てる人を雇用する、あるいは、ゴミを捨てた人に罰金を科す(そのための監視員を雇う)、持ち帰ることを前提にしている現状を改め、ゴミ箱を設置する、などといったアンケート項目について登山者の意識を調査し、その上で、それぞれの方法の経済効果との関連を探りたいとのことでした。

その調査方法の妥当性や、経済効果をどのように測定するのかといったことは門外漢の私には判断がつきませんが、経済学の学習にこのようなフィールドワーク的な要素を入れているということが新鮮でした。その生徒はもちろんEconomicsの先生にこの調査の構想について相談をしており、先生が方向性を示してくれているとのことでした。

ここからは推測ですが、登山家を消費者、観光地の業者をサービス提供者として捉え、さらに国(あるいは地方自治体)の公共事業という面が相互に関連して経済が動いていることを考えさせようという意図があるのではないでしょうか。

経済学と言えばDemandSupply曲線だとか、比較優位だとかという概念が先に立ってしまう(しかもそういった知識もおぼつかない?)日本の教育と随分差があるなあと改めて感じた次第です。ちなみに経済分野において日本の大学の評価がいかに低いかは世界大学ランキングからも明らかです(参考記事)。経済大国であることと、世界経済をリードしていける存在であるかどうかは異なるということでしょうか。