【グローバル時代の英語教育】慶應義塾の派遣留学制度

Taxonomy upgrade extras: 

◇慶應義塾女子高校のホームページに「新しい派遣留学制度の創設のお知らせ」という告知があった。アメリカの名門ボーディングスクールに1年間留学できるというもので、慶應に通常に納める学費以外に負担する費用は何もないという。慶應女子だけではなく、義塾(日吉)、志木、湘南藤沢の4つの高校から選抜されるそうだ。

◇留学先となるボーディングスクールは、マサチューセッツのDeerfield AcademyとコネチカットのThe Taft Schoolで、どちらもエリート御用達とでも言うべきプレップスクールである。ちなみに年間学費(ボーディングの場合)は、どちらも年間5万ドル超である。慶應義塾の通常の学費を納めるだけで、渡航費や保険料までカバーされるというのだから、この留学制度を利用しない手はない。

◇留学先で充分な成果が認められた場合は、1年後に元の学年に戻ることができ、通常通り慶應義塾大学への推薦も受けられるというが、名門ボーディングを経験してしまった生徒が果たして日本に戻ってくるのを望むのだろうか。むしろそちらの心配をしたくなってしまうほど魅力的な留学制度である。

◇留学団体の斡旋などを利用した私費留学でよく問題になるのが、1年間留学で行ったはずなのに、現地が気に入ってしまい、そのまま2年から3年現地に滞在して、大学受験で帰国枠を利用するといった話。日本の高校の在籍を外れることになるので、留学団体と学校、そして留学している本人との間でトラブルになりやすい。

◇慶應の場合は、大学にブランド力があるので、100%戻ってくるという自信があるのであろう。しかし、海外の大学にそのまま進学したいと考える生徒にとってはどうなのだろう。名門ボーディングスクールで得られる人脈、そして充実した教育、さらに、アイビーリーグを初めとする名門大学への進学可能性が広がるとなれば、そのままアメリカに残りたいと考える生徒も出てくるのではないか。問題は年間5万ドルを超える学費をカバーできる経済力であるが・・・。