かえつ有明学校説明会ー飛躍を続ける人気の秘密(2)

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6月21日の午後に行われた帰国生説明会も大盛況であった。説明会の方は100名に達するほどの来場者、同時に開催された英語体験授業も20名を越える帰国生が集まった。

これだけの数の帰国生・インター校生が一つの説明会に集まるということは、かえつ有明の教育イノベーションが海外帰国生の親に支持されていることの証であろう。

IBディプロマのコア科目であるTOK(Theory of Knowledge)を参考に、かえつでは中学段階から帰国生クラスでTOK型の哲学授業を行っている。思考力をベースにしているという意味ではサイエンス科のクリティカルシンキングと響き合っているのである。

この日の体験クラスは、オナーズ (Honors) といって、英検準1級以上の実力を持つ生徒によって構成されるクラス。英語ネイティブ講師がナチュラルスピードで授業を進行し、この日始めて顔を合わせる受験生同士が英語によるディスカッションにチャレンジした

子どもたちのそれぞれのペースを尊重しながら、問いを自分なりに深め、その後周囲の子と話を始める。そのプロセスを通して自分の考えを振り返るという学びが英語で行われた。なんと、これはサイエンス科で行われている思考力テスト対策講座と同じ構造ではないか。かえつ有明の教育の核はまさにこのような授業スタイルに表れているのだ。

 

一方、これだけ帰国生に支持され、それなりの人数を受け入れるということは、英語の取り出し授業以外に様々な態勢を整えておく必要がある。

 

その態勢の基盤には、元帰国生の教員を各学年担当にしていることが挙げられる。自らもかつて帰国生であった教員が3名、中学部の各学年に配置され、帰国生のケアを行っている。海外での学び方と日本での学び方の違いに戸惑いを感じる帰国生は多いが、クラス担任の他に、帰国生担当の教員がいるというのは、他に類を見ないほど貴重な環境である。

また、かえつ有明では放課後日本語講座を実施し、日本語をベースにした教科学習のサポートも行っている。ここでは、国語だけではなく数学・社会・理科といった日本の教科学習と、帰国生の学習スタイルとをアジャストしていく機能を持たせているのだという。日本型の学習を軽んじるのでもなく、そこにコンプレックスを抱くのでもなく、両者を統合していく。これが海外大学進学も進路先の一つとして見ていこうという「国際併願」の考え方なのである。

かえつ有明が帰国生に支持を受けているのは、別の言い方をすれば、「多様な学び」に対して開かれていることを意味している。大学合格実績も目覚ましい伸びを見せているかえつ有明があえてその実績を前面に打ち出さないのは、多様な学びを可能にするかえつ有明の懐の深さなのである。

もちろんこのような学校が一朝一夕に出来上がるわけではない。今年創立111年を迎える伝統と、不断の努力で進化し続けてきた不易流行の精神がそのような環境を支えてきたのだ。

校長の嘉悦克先生は毎回説明会の冒頭で5分間の簡潔な挨拶をされる。他の先生方に任せるところは任せ、語るべき伝統と歴史についてはご自身の言葉で伝える。私学の強み、そしてかえつ有明の強みは実にここに由来しているのである。