大学入試改革のグローバル戦略

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12月22日、中教審が大学入試改革案を下村大臣に答申した。現在の小学校6年生が高校3年生になる2020年には新しい制度が導入されることになる。

この動きを先行して捉えていたのは、中学受験塾ではなく、21世紀型教育を推進する私立学校である。詳しくは21世紀を創る会」のホームページをご覧いただきたいが、教育の新しい潮流を創りだしている学校群である。

今回の大学入試改革は、いわゆる1点刻みの得点を巡って競争をする「知識偏重型」から、思考力や判断力などを多面的に評価する「知識活用型」に向けての改革で、ようやく大学入試のあり方に風穴があきつつある状況になったと言える。

中教審の答申を受けて、今後文科省や政府がどのように動いていくのかが注目されるが、本気で留学生を呼び込む気があるのであれば、グローバルな視点で制度設計をする必要があるのは言うまでもない。また、スーパーグローバル大学の方でも、単に予算を多く割り当てられるという「受け身」ではなく、アジアの他大学との競争の中で何をアピールしていくのかを真剣に考える姿勢が求められる。

それにしても、この動きに対する中学受験塾の反応が鈍いのはどういうことだろう。すでに小学校6年生より下の学年はこの入試改革の影響を受ける可能性が高いのだから、そのような教育を推進している学校を特集したり、またそのような試験への対応を行うのが塾の使命であるはずだが、この動きに関しては完全に後手に回っている、というか、未だに改革の意味がよくわかっていないかもしれない。

私立学校の方はすでに着々と準備を進めている。かえつ有明や工学院大付属、聖学院、富士見丘などでは思考力テストを実施し、知識の活用に重点を置いた入試制度を設けているし、文化学園杉並や佼成女子、順天などは、グローバル教育の観点から、留学や海外大進学の選択肢も含めて生徒に進路指導をする体制を整えつつある。

こういった21世紀型教育を推進している学校は、大学合格実績という世間からの期待に応えつつ、本来の学びを提供してきた。世の中の流れは今、そちらの方向に動き出した。