思考力テストに見るかえつ有明の21世紀型教育

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思考力テストは今や21世紀型教育を推進する学校の主要なテストとして受け入れられつつある。その思考力テストを、現在のようなトレンドになる何年も前から先取りしていたのがかえつ有明である。今年度最後の思考力テストの体験講座を取材した。

学際的な科目である「サイエンス」の入試科目として「作文入試」の名でスタートしたのが4年前。準備期間を考えれば、構想はさらにそこから数年遡るはずで、いかにかえつ有明が21世紀型教育へのアンテナが高かったかということがよくわかる。

かえつ有明が実施している思考力テストが、公立中高一貫校の適性検査と大きく違うのは、解答が一つとは限らない「オープンクエスチョン」を重視している点である。

この日の講座では日常的になじみの深い食べ物を題材に、その歴史から人間の文化に迫ろうとする200字記述の設問が最後に用意されていた。

自分の考えを書くタイプなので、解答の内容はさまざまなものがあり得る。しかし、すべてが正解というわけでは当然なく、そこに採点基準が厳然としてある。採点基準の考え方は基本的にTOEFLのエッセイライティングと同じである。その観点をいくつか挙げておくと、結論(主張)が明確で、首尾一貫していること、また、その出張をサポートする根拠(エビデンス、具体例等)が盛り込まれていること、などである。

さらに万全を期するために、サイエンス科で同様の記述採点をずっと行っている教員チームが複数の目を通して、得点化していくのだという。タキソノミーやルーブリックをいち早く取り入れたり、IBのTOKなど海外の教育を研究していることも経験値を高めるのに多いに役立っているのであろう。

そうかといって方法論だけが一人歩きするわけではない。手がとまった子どもに寄り添ってアドバイスをする先生方やチューターの姿を見ていると、ロジカルな思考に温かいハートが加わっていることがよくわかる。かえつの人気がずっとうなぎ上りであることもなるほどと納得できるのである。