一橋大学帰国枠入試 2015年の小論文は都市論

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 一橋大学の帰国生入試を受験した生徒が、持ち帰った小論文の問題を見せてくれた。出典は宇沢弘文『経済学と人間の心』(東洋経済新報社、2003年)。

 この書は、2013年に『経済学は人々を幸福にできるか』というタイトルの新装版となって出版されており、著者が2014年に逝去されたことと合わせて考えれば、どの予備校でも出題を予想しマークしていた書であろう。

 問題文として抜粋された箇所は、都市に対する考え方に関して、ル・コルビュジェとジェーン・ジェイコブズの違いが説明されている部分。例年通り要約問題と説明問題の後に小論文が出題されている。

以下の文章およびあなた自身の実体験等を参考にして、都市に関して重要と思われる要素や視点がどのようなものであるかについて、あなた自身の考えを述べなさい。(800字以内) 

 帰国生は、海外の複数の都市で暮らした経験を持っている場合が多い。帰国生クラスの授業で盛り上がるのは、それぞれの生徒が暮らしてきた当地の事情に関することだ。都市を比較するのは、帰国生にとって得意な分野であろう。問題は、単なる都市の生活体験を書くのではなく、都市の重要な要素を提示することが求められている点だ。

 グローバル社会や多国籍企業ということと都市との結びつきを書くこともできるし、学校教育と都市の関連を書くこともできる。何を選択するかは、生徒の関心に依るであろうが、都市が魅力的であるための条件を考察する必要がありそうだ。

 教え子であるフランスからの帰国生は、多様な人々が暮らす点を都市の魅力に挙げ、1次試験通過した。本日行われている面接では何を話したのだろうか。東京の魅力をポジティブに語ったのだろうか、それとも、通勤電車で疲れきった人々の様子でも語ったのだろうか。