【海外帰国生関連】仏バカロレア試験の哲学

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昨年夏にフランスから帰国した生徒が、日本の帰国枠大学受験の小論文は、試験時間が短いと話していた。

東大の小論文では日本語と外国語がそれぞれ一題ずつ出題され、試験時間は2時間半、一橋は4000字ほどの課題文要約と800字以上の小論文で、試験時間は2時間である。選択式の問題に慣れている感覚からすればそれほど短いとは感じられない試験時間である。

しかし、その生徒が高校卒業時に受けたフランスのバカロレアでは、例えば「哲学」1科目の試験時間が4時間だという。ちなみに哲学は必修科目で、文系理系を問わず必ず受験しなくてはならない科目だそうだ。

どんな問題が出るのか検索していたところ、日本語で書かれていて、うまくまとめられているブログに遭遇。これを読む限り、日本の一般受験で出題される問題との違いは明らかである。

人文系の哲学の問題

  • 芸術作品は我々の知覚を鍛えるのか?
  • 幸せになるために何でもすべきか?
  • カール・ポパー『客観的知識』の抜粋の解説

経済社会系の哲学の問題

  • 自由になる選択権があるだけで十分か? 
  • なぜ自分自身のことを知ろうと努めるのか?
  • ハンナ・アーレント『人間の条件』の抜粋の解説

理系の哲学の問題

  • 我々は幸せになるために生きているのか?
  • 芸術家はその作品の主人なのか? 
  • デカルト『精神指導の規則』の抜粋の解説
帰国枠大学入試の日本語小論文は、かなりバカロレアに近いが、それでも試験時間の長さや、問題を受験生が選択できるかどうかという点においてはまだまだ改善の余地がありそうだ。

大学入試改革の方向性は、1点刻みのセンター試験から思考力重視へという流れだ。その兆候はすでに中学受験において明らかになっている。6年後を先取りするのが中学受験のマーケットであるから、ここから顕在化するのは至極当然のことである。3月21日には小学生対象の思考力テストが実施される。ぜひ体験してみてはいかがであろうか。