英国式ボーディングスクールという選択

アエラの 15.11.9号では、「そのグローバル教育、間違ってませんか?」と題し、グローバル人材やその育成を担う教育についての特集が組まれています。

その特集の中で、アジアに進出しているイギリスの伝統校が幾つか紹介されていました。マレーシアのEpsom collegeや Marlborough college、香港やタイにあるHarrow International School などです。

Epsom collegeの場合、年間費用が寮費と合わせて360万円ほどということなので、もちろんまだ高額ではありますが、イギリスのボーディングスクールに通う場合の費用の約半分で行かせることができます。

ボーディングスクールですから、マレーシアの生徒だけでなく様々な国から来ている留学生との交流が多くなりますし、大学はイギリスなど海外の大学となるでしょう。グローバルな人脈形成という観点からも、かなり魅力的だと言えます。

マレーシアにある別のインターナショナルスクールに通っている生徒に、これらのボーディングスクールについて尋ねてみたところ、マレーシアではもともとイギリスの教育が浸透しているため、それほど特別なことだとは感じていなかったようです。マレーシアがイギリス連邦に所属しているということもありますし、その生徒のインター校でもAレベルを採用していて、イギリスの教育を受けることがそれほど特殊なことだとは感じていないということでした。

大学進学についても尋ねてみると、マレーシア国内以外に、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、中国に進学する生徒が多いとのことです。日本に留学する生徒がほとんどいないというのは予想通りでしたが、理由は「そもそも知られていない、大学フェアに日本の大学の広報担当者が来ていないことが大きいのでは」とのこと。

要するにランキング以前の話です。日本の学生を獲得することには熱心でも、近隣のアジア諸国の留学生への広報はほとんど意識されてこなかったことが日本の大学の問題点として浮かび上がってきます。

ちなみに、アメリカに進学する生徒もあまりいないということで、やはりイギリス連邦という意識も強くあるのでしょう。ユーラシアプレートと太平洋プレートの間には、単にプレートという基層の違いだけではなく、その上に乗っている文化的、あるいは地政学的な境界線も存在しているのかもしれません。

ともあれ、日本で得る情報というのはどうしてもアメリカのメガネを通したものになりがちですから、それを相対化する上でもイギリス(及びイギリス連邦)を意識しておくことは、これからのグローバル社会を生きる上でとても大事な視点になってくるように思われます。

世界大学ランキングで日本の大学が順位を落としていることが話題になっていますが、今後競争にさらされるのは大学ばかりではなく、中等教育にも及んでくるのは避けられないでしょう。私立中高も、公立に対する優位性を根拠に安穏としてはいられない時代がやってきたということです。