帰国生にとっての良質な学習環境 1 【富士見丘/土浦日大中等教育学校】
◇首都圏の私立中高では、一般入試に先立ち、帰国生入試がスタートするシーズンです。海外で暮らし、日本国内とは異なる文化・習慣を経験してきた帰国生にとっては、日本の学校が帰国生にどのような対応をしてくれるのか、非常に気になるところでしょう。
◇一昔前までは、帰国生といえば「バイリンガル=英語力」という見方が支配的で、英語がどれだけできるかという点ばかりが強調されていましたが、最近では異文化に適応する力や、ユニークな発想を評価し、帰国生のそういった力を伸ばそうとする学校が増えています。例えば、富士見丘中学高等学校はそのような学校の一つです。イギリスの姉妹校を初めとした、豊富な英語圏への海外留学プログラムの他に、インドネシアの高校生との交流や、アラブ首長国連邦での異文化体験など、世界を意識させる教育が実践されているのです。
◇もちろんTOEFLやIELTSといった英語資格に対応するプログラムも充実しているのですが、ただやみくもにスコアの高さを競うのではなく、世界に目を向け、個性が発揮できる環境を用意しようという、21世紀型教育を実践している学校なのです。
◇海外で授業を受けていれば当たり前の、このような環境は、残念ながら日本では一部の私立学校でしか実現されていません。帰国生を「バイリンガル」または「大学進学実績の稼ぎ手」といった面からばかり見ているような学校がまだまだ多いのが現実です。
◇本当に帰国生の多様性を理解している学校というのは、帰国生に対するサポート体制が充実していたり、進学面も海外大学を含めたバラエティに富んでいたりするものです。
◇例えば、土浦日本大学中等教育学校は、オーストラリアの大学への推薦制度を持ち、帰国生保護者会が存在しているなど、帰国生に目が行き届いている学校の一つです。今年度の海外大学合格実績がすでに8名も出ているところ(私立学校研究家本間氏のブログを参照)からも、グローバル化社会を見据えた進路相談がなされていることが伺われます。
◇生徒の個性が一人一人異なることに配慮する学校というのは、「数」で把握する大学合格実績よりも、生徒と学部のマッチングなどを、「質的に」捉えようとします。生徒一人一人の夢や目標の実現のために努力している様子は、ホームページにある、中川校長の次のメッセージからもよく伝わってきます。
本校には,実にさまざまな生徒が,いろいろな地域,そして,世界の各地から集ってきています。
英語が好きで,外国の文化に関心が強い生徒,医師を志し努力を誓う生徒,運動能力に長け,競技に熱中できる生徒,高い志をもって,将来世の中のために役に立ちたいと心に決している生徒……,実に素晴らしい生徒たちが,この学校にはいるのです。
(中略)
『学力』を確かなものとすることは,その人間の基盤の力となります。多くのさまざまな「知識」を得て,それを活用する「知恵」を創造していくのです。
『学力』を高めることの努力は,時には,力ある教師から強く促されます。また,生徒たちの未来に向けた意思意欲の力に支えられ,遂行されていくのです。
日本一・世界一を目指す高い目標を掲げ,ためらうことなく前進する力強さが,これを作り上げていくのです。
東京大学を目指せ,ハーバード大学を目指せ,日本大学医学部を目指せ,これが中等が掲げる遠大な,しかし,実現可能な目標のひとつなのです。
◇海外で学んだ学校の環境を心地よく感じていた人であればきっとわかると思いますが、生徒一人一人が違うことを前提にしている教育は、いわゆる大学進学実績を数で誇るようなアピールの仕方にはなりえません。そうではなく、教育の中身を語ろうとする学校こそが、バックグラウンドが異なる帰国生には特に、望ましい環境だと言えるのです。
◇21世紀型教育を進めている私立学校を選択対象とすることをお勧めする所以です。