かえつ有明ー探究型の学びで今年も東大合格者を輩出

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かえつ有明が昨年に続き、今年も東大理科1類に現役合格者を輩出しました。とりたてて東大に向けた進路指導をするわけでもなく、むしろ21世紀型教育を推進する同校が結果的に大学進学実績を伸ばしているのは、生徒のモヤ感を大切に育て、性急に答えを見出すより探究を続けようとする学びの姿勢にあるようです。

 

先日かえつ有明の卒業式で石川校長は、式辞を次のような問いかけで始めました。「あなたは誰ですか?」と。

一瞬、会場に「???」の文字が浮かんだような雰囲気が漂いました。すぐに続いた言葉によって、この問いかけが実は石川校長お得意の哲学対話のフレーズであるとわかり、安堵の空気へと変わったのです(石川校長先生の式辞はこちらから読むことができます)。

 正解がない問いというのは、あたかも楽な問題であるかのように感じられるかもしれません。しかし、正解がないことに対して、自分で判断をしていくというのは、日本の正解主義の教育に慣れ親しんでいる人にとっては、非常にしんどいことです。間違っているかもしれないという恐れが発言を躊躇させるわけです。

こういったリスクを負いながら、一人の個人として自己を確立させながら生きていくことを奨励する式辞にかえつ有明の教育の本質が凝縮されています。

未来から眺めるとき、過去は違って見えることがあります。

今は気づいていない自分が未来に見出されることもあるのです。

そういう意味で過去もまた変わっていくと言えるのです。

みなさんには、これから長い未来が続いています。本校を卒業し、新しい環境で、新しい仲間に出会うはずです。

 

そこではまた、異なる自分を発見することでしょう。「自分」は決して固定して不変なものではないのです。

石川校長がこのように話す時、勇気づけられた生徒がきっとたくさんいたのだと思います。中には大学受験がうまく行かなかったと思っていた生徒もいたのかもしれません。もちろん第一志望を喜んでいる生徒もいたことでしょう。いずれも、現在の評価に過ぎず、一つの通過点なのです。

東大への現役合格者が2年連続で輩出されたことは、もちろん誇らしい結果です。しかし、そこで終わりではありません。かえつ有明の21世紀型教育が、その先を見通していることが、石川校長の式辞から明確に伝わってきます。