かえつ有明中高「クリティカルシンキング」の深化

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◆9月10日に実施されたかえつ有明の説明会を取材してきました。同校が以前から取り組んでいる<クリティカルシンキング>(CT)はさらに深化しています。

1)サイエンス科とCT

◆教科横断的な知を目指すかえつのサイエンス科が<クリティカルシンキング>をプログラムの根幹に据えていることは、すでに別のブログで紹介しました。→新しい学習プログラムの試み7

◆そのサイエンス科が中心となって昨年から行っている入試が「作文入試」です。説明会では教頭の石川先生が「作文入試」の狙いや受験生に求められる力、また今回の体験授業で扱うテーマについて解説をされていました。

◆説明会で使われていたパワーポイント資料には、土台に「心の教育」という言葉が大きく書かれ、その上にCT(クリティカルシンキング)・キャリアデザイン・PDCAサイクル・ノブリスオブリージと言葉が上に伸びています。ビジネスでCTというと、ともすると「心」よりも「理屈」優先といったイメージで捉えられかねないのですが、かえつ有明の教育において、土台は「心」にあるということを石川先生は強調されます。様々な面から(クリティカルに)生徒とともに教員が歩んでいけるのはベースに「心」があるからこそだというわけです。このような文脈でCTという言葉を発信できるのは、かえつ有明においてCTはすでに先生同士の共通言語として浸透しつつあることの証でしょう。

◆ちなみに、今回の体験授業のテーマは「ロボットをサイエンスする」というものでした。この授業の最後で200字の記述をするのですが、これは東大理科1類の帰国生入試の小論文で出題されたものと同じ内容です。もっとも、作文入試体験授業ではいきなり書かせるのではなく、ブレインストーミング(マッピング)→比較対照(コンペアコントラスト)→共通点・相違点・理由の記述などのプロセスを、かえつ有明チューターやTAが生徒と対話をしながら進め、最後に、意見と根拠を200字でまとめさせるという手順を示している点は、サイエンス科の手法が前面に出た、かえつ有明らしい体験授業だったと言えます。

 

2)英語教育とCT

◆かえつ有明では英語の教科書に「New Treasure」を使っています。この教科書は、Z会が中高一貫校向けに出版している学校用教材で、かえつ有明英語科の山田先生や久保先生も編集委員として関わっています。CTの要素を取り入れ、論理的思考やコミュニケーションスキルを重視した内容となっている教材です。→詳しい記事はこちら

◆かえつ有明では、この教材をベースにして、Advanced Classではケンブリッジ英検の教材を利用し、Honors Classでは、Humanitiesや国際バカロレアのTheory of Knowledge(TOK)にまで踏み込もうというレベル構成を開始するようです。これによりHonors Classでは英語は「道具」になり、英語を通して社会や歴史、あるいは思考法を学ぼうとするわけです。

◆帰国生だけではなく、国内からの生徒も意欲と実力に応じて最上位クラスに進むことができるシステムを作ることにより、国内生と帰国生が共通して身につけるべき能力がCTであるという位置づけがはっきりしてきました。単に英語が話せるではなく、論理的に英語で対話できる「クリティカルな精神」を重視しているのです。

 

3)受験指導とCT

◆来年は中高一貫校の一期生が卒業します。説明会では、来春の大学受合格者数の目標として、早慶上理で30名、GMARCHで70名を掲げていました。もちろんこの数字は、根拠なしに挙げられているわけではありません。高3生一人ひとりの模試の結果を見ながら、中1から持ち上がっている高3進学担当の先生が算出したデータを基にしているのです。

◆今年の高3生は中高一貫生の第1期生ということで、学校全体として進学に力を入れています。しかし一方、高いレベルの大学に進学させれば学校教育の使命が終わるというわけではなく、「進学はあくまでも一つの通過点であり、真に社会に貢献できる人間となることこそがかえつ有明の目指す教育である」と石川先生は話します。CTが大学受験において鍵を握っていることを見通しつつ、同時に、その先の教育を見据えるクリティカルな視点が健在であることも確認できました。