かえつ有明 高校に新クラス誕生!

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2015年度からかえつ有明が高校入試を実施する。4月25日(金)に実施された塾対象説明会の中で、高校募集の位置付けと、新たな高校の授業の構想が語られた。

 石川副校長は、東京オリンピック開催とかえつ有明の新しいビジョンを重ね合わせ、「かえつ有明2020」というコンセプトとして表現した。

 2020年は、有明の地にかえつが移転して15年目という節目にあたる。世界の注目を集めるオリンピックが開催される場所で、グローバル人材を育成する教育プログラムを推進していこうという力強い宣言である。

 これまでの8年間の総括を提示する中で、石川副校長は、かえつ人気を支える要因を三点指摘した。

 まず一つは大学合格実績である。特に国公立や早慶上理といった難関大の伸びが顕著であること。
 二つ目の要因としては、帰国生から支持されていることである。すでに全体生徒数の12%が帰国生(あるいは国際校出身)だという。
 三つ目として、クリティカルシンキングに焦点を当てた独自の教育プログラム「サイエンス」が注目されてきたことも大きな要因として挙げられた。
 
 人気を支える要因を分析すると逆に課題も見えてくる。生徒の意識や目指す進路がより高まってきたことで、進路指導に質的な転換が求められること。また、国内の従来型の受験に加えて、海外進学や国際教養などへの進学(国際併願)への対応力も必要となること。さらに、様々な入試に対応できる学力を育成するプログラムが求められること。こういった期待に応えることがこれからのかえつ有明の方向性であり、「かえつ有明2020」の構想である。高校新クラスでの教育の特色を活かすべく、満を持して高校募集を行うわけである。
 
 
 新しい取り組みとは言っても、すでにこれまでに実践してきたベースがあり、それを展開していくわけだから、かなり現実味のあるプログラムとなっている。

 独自の英語教育 <Language Arts> というのは、すでに帰国生クラスを中心に実践していることで、英語を実際に運用していく場面を想定した英語教育である。英語科主任で、高校新クラスの主任ともなる山田先生によれば、受け身で分析的に勉強するのではなく、能動的に学習することにつながるという。IBにおけるTOKのようなディスカッションも想定されているが、英語力がそこまでには達していない一般生向けとしてはフォーマットを積極的に利用していくようだ。具体的には、エッセイライティングにおける型、そしてアーギュメント(論証)における型などを与えながら、対話型の授業が展開されることになる。クリティカルシンキングを研究してきた山田先生のことであるから、英語におけるロジック(論理)の構造を習得することが、英語を理解する肝であると確信しているのであろう。長い英文を速読したり、論理的に通じる英文を書いたりすることのポイントは、語彙力や文法力に加えて、ロジック(論理)の「型」を習得することであるというわけだ。中学サイエンス科で日本語を使ってやってきたことを、高校では英語で行おうということであろう。

 

 新教科「プロジェクト」も、教科横断的という点で「サイエンス科」で行ってきたことを高校レベルに発展させたものである。

 答えが一通りではない課題、あるいは答えがすぐに見通せないような課題に対して、どう対応したらよいのか、そのための手法を与えるのが「プロジェクト」である。手法というと一般的には、情報収集や比較・対照といった「操作」ばかりがイメージされるが、問題への生徒の関心や意欲が置き去りにされているわけではない。山田先生は、マルザーノのタキソノミーを引き合いに出して、レベル6のセルフシステム思考を促す仕掛けについても示唆していた。プロジェクトという教科の手法と、その教科で扱うコンテンツが組み合わさることで、IB型の思考力が促されていくわけである。

 説明会の最後の帰国生英語教育では、IBのTOKを一つのモデルとした、英語による対話型哲学授業のアプローチについて担当のネイティブ教員から説明があった。中学に在籍している帰国生にインタビューする形式も取り入れられており、かえつ有明の帰国生英語授業のエッセンスが垣間見られた。

 2020年に向けて、思考力とグローバル教育を軸にしたかえつ有明の新たな挑戦が始まったわけである。