国際バカロレア入試のインパクト
帰国枠大学入試に関する問い合わせで最近増えているのが、高校途中で帰国することになったら、国内の国際校などでIBディプロマを取得しようと思うがどうだろうかという質問である。
これまで海外に住んでいる生徒が急に帰国になる際に、国内のインター校を選択するという機会はそれほど多くなかった。それは国内大学を受験する上で、大きなハンデを背負い込むことになるかもしれないという考えからだ。
具体的には、受験資格の問題である。日本で仮にIBディプロマが取得できたとしても、帰国枠受験は基本的に使えない。帰国枠は「海外の学校に就学していた生徒」のための入試であるから、国内の国際校では駄目だという理屈である。
ところがAO入試の広がり、特に国際教養学部系の大学が英語力を中心に評価する入試制度を推進したきたことや「国際バカロレア入試」が広がりつつあることによって、海外生の考え方に変化が出てきたのである。つまり、無理に日本型の受験勉強をしなくても、これまで海外で学習してきたスタイルを続けていくことで日本の大学に進学できるかもしれないと。
海外で学んできたのだからなにも無理に日本の大学を選ばなくても、海外の大学に進学すればいいのではないかという考えもあるだろうが、海外生活が長かった場合ほど、せめて大学は日本で学ばせたいと思う親は少なくない。日本の文化や習慣をほとんど知らずに育っている我が子を見れば、そのように思うのも無理はないだろう。
いずれにせよ、海外から途中帰国生の編入に関する問い合わせが増えている背景には、入試制度や学びの多様性が日本にも少しずつ広がっているという現実がある。
平成28年から始まる東京大学の推薦入試は、大学入試センターを課している点でまだ十分とは言えないが、受験生を日本の高校卒業の生徒に限定していない点で評価できる。この動きが進んでいくと、国際バカロレアだけではなく、A-levelやSAT,カナダやオーストラリアなどの国家統一試験取得者が、一般受験以外の形態で日本の大学にアプライできるようになる。
すでに文化学園大学杉並のように、その動きを見越して世界標準のカリキュラムを着着と準備しているグッドスクールもいくつかあるのだが、いずれ別の機会に紹介していこう。
先日文化学園大学杉並のオープンキャンパスに行ってきた際のレポートは21世紀型教育を創る会(21会)のウェブサイトに記事を書いたので、参考にしていただきたい。