言論

マスコミ報道を見て思うこと

 社会の中で暮らしている以上、公に言ってはならないことや、言うべきではない局面があるのは止むを得ません。必要がないのに人を傷つけるような言動を発することは戒めるべきでしょう。一方、悪意で取られることを恐れて、自由な言論を慎むような空気があるとすればそれもまた大きな問題です。

 

 今回の大震災とそれに続く原発事故で、自由な報道の限界が見えてしまったマスコミの体質を批判することは容易いことですが、大切なことは、私たちが依存している経済基盤を否定することではなく、民主的な議論・対話に基づいた組織運営、社会づくりができるかどうかでしょう。実際、この震災によって私たちが気づかされたことはたくさんあります。中でも、国や大きな組織によるプロパガンダが現代においても巧妙に仕掛けられているということは決して忘れてはならないことだと思います。

 

 どこの企業、団体においても、「これを言うと睨まれる」「こういうことは言うべきではない」といった、表現の自主規制は、日常的にあります。しかし、この自主規制が自覚できているうちはまだましで、それを客観的にチェックできなくなるほど、集団全体が麻痺状態に陥ってしまうことこそが危険なのだということを、私たちは今回も「後になってから」痛感させられたわけです。